2018年07月10日

この頃面白かったもの

個展が終わって少し本を読む時間が出来たので、なかなか読み切れなかった皆川博子の聖餐城を読み切った。ドイツ30年戦争のお話で855ページもあるが、これを日本人が書いたなどとは信じられないほどリアリティーがあり、当時の時代背景と人々の暮らしが良く分かる。全編にわたって理不尽さと残酷な描写が続くが面白かった。驚いたのは城内にある地下牢の場面で、惨憺たる地下牢の下にさらに2重底になった地下牢がある。入り口も出口も一つきりのフラスコ状で底の部分を三角推状に盛り上げた形状をしている。牢の描写で、そこにはこれまでに犠牲になった屍とネズミと虫しか生きていない。この壮絶なイメージが凄かった。現代生活を砂上の楼閣とお嘆きの諸氏には楽しめますよ。
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聖餐城と前後して卒業生の福室女史が、これいいですよ、とパトリシオ・グスマン監督のドキュメンタリー映画「光のノスタルジア」と「真珠のボタン」のDVDを貸してくれた。これは世界一乾燥しているチリの砂漠にある天文台の星の話とピノチェト政権の時に行われた大虐殺をイメージラップさせながら語り継ぐ映画で、3000人が虐殺され25万人が拷問を受けた。「真珠のボタン」ではその遺体を海に投下するときに1メートルほどに切られたレールに括り付け捨てた。現在はその検証の為にレールの引き上げを行っているが発見されたレールは40年の間にボロボロに錆びて括り付けられた遺体は服ごと溶けて無くなってしまっている。それがある引き上げたレールに衣服のボタンがくっついて発見された。チリの虐殺は全く知らなかった。つい40年ほど前の事なのに我々は何も知らずに暮らしている。
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なんだか刺激を受けて新作ドローイングを描きだした。
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posted by entotsu at 00:38| Comment(0) | 万年筆 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする