2021年01月18日

ゴヤに嵌る。

ゴヤに嵌るとはいっても絵ではなく堀田善衛の小説の「ゴヤ」である。何かの拍子に4冊セットのうちの1巻が出て来てなんとなく読んでいたら止まらなくなってしまい2巻以降は見つからないので、現在は集英社から発売になっている2〜4巻を買って読んでしまった。しかし何といっても1巻がスペインの人と歴史を辛辣にえぐるように書いているのがやたら面白い。昔読んだ時は画家としての成り立ちとして読んでいたらしくざっと40年前の事で今みたいな読み方は出来なかった。おかげで風刺として見ていた「気まぐれ」のカルロス4世とか夫人マリア・ルイーサ、その愛人ゴドイの三つ巴の政治と異端審問、司祭軍団のぐちゃぐちゃの絡み合いの意味が良く分かった。また異端審問の拷問のやり方が仔細に描きこまれていてゴヤへの考え方がだいぶ変わりました。しかし何といっても一番納得したのはゴヤが74歳から移り住んだ聾者の家で食堂と応接間に3年間かかりきりで描いた15枚の黒い絵は食堂と応接間の漆喰の壁に描かれていたものを54年後に壁からキャンバスに移し替えたものであり、60年代の記録でも相当に傷んでいたのが報告されているものである。移し替えの時点でも大幅な修復がされていたものだが、その後3回も修復を繰り返していてとてもゴヤが描いた当時の絵ではないというのだ。「わが子を食らうサトウルヌス」も実は左足の付け根の上に白い明るい部分があるが、実はこれは男根が描かれていたものを修復で塗りつぶされたという。この黒い絵軍団を見たくて見たくてプラド美術館に駆け込んで行ったものだが、もっと劇的な対面のはずが、やたら奇麗にまとめられていて、こんなものかなあ?という感じを受けたのはそういう理由があったらしい。もう一度そのあたりを矯正してみる必要があるようだ。昔これを読んだ方ももう一度いかがですか。
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posted by entotsu at 00:39| Comment(0) | お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする